則本昂大はなぜメジャーを諦めたのか?大型契約の真相と守護神への道
かつて唸る豪速球と切れ味鋭いフォークを武器に、パ・リーグで5年連続最多奪三振の偉業を成し遂げた則本昂大。侍ジャパンの主力としても国際舞台で快投を演じ、メジャーリーグ(MLB)のスカウト陣から熱視線を浴びていた右腕が、なぜ米球界への挑戦を選ばなかったのか——。野球ファンの間では今なお語り継がれるテーマの一つです。
2019年の電撃的な超長期契約、そして2024年に果たした守護神への配置転換を経て、円熟味を増した投球を続ける則本投手。海を渡ることなく東北楽天ゴールデンイーグルスに骨を埋める覚悟を決めた背景には、怪我の苦悩、球団への深い恩義、そしてプロフェッショナルとしての現実的な決断がありました。今改めて、その移籍断念の全真相と現在の立ち位置を紐解きます。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:米複数球団から先発2〜3番手級の高評価を受けながら、2019年春の右肘手術と球団の支えがキャリアの大きな転換点となった。
- 要点2:海外FA権の取得を待たず、2019年夏に異例の「7年契約」を結んだことで実質的な生涯楽天宣言を行い、ポスティングの道を自ら封印した。
- 要点3:先発としての実績にとどまらず、クローザー転向後もタイトルを獲得するなど、杜の都の絶対的支柱として球史に残るレジェンドの道を歩んでいる。
【米スカウトも熱視線】かつて則本昂大に寄せられていたメジャー評価の全貌
則本投手が2010年代半ばに見せていた圧倒的なパフォーマンスは、海を越えた米球団関係者の間でも注目の的でした。最速158キロを計測するノビのあるストレートに加え、打者の手元で鋭く落ちるスプリット(フォーク)、ブレーキの利いたスライダーは、メジャーの強打者相手でも空振りを量産できる球種としてリストアップされていたのです。
特に強烈なインパクトを残したのが、日米野球や2017年の第4回WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)での登板でした。当時、MLBのトラッキングデータ(スタットキャスト)でも則本投手のスプリットは高い空振り率を記録。現地スカウトの間では「メジャーの先発ローテーションで2番手から3番手を担える器」「リリーフであればセットアッパーやクローザーとしても即戦力になる」と極めて高い評価が下されていました。
さらに、2014年から2018年にかけて達成した5年連続最多奪三振、そして野茂英雄氏の記録を塗り替えた8試合連続2桁奪三振というNPB記録は、タフネスと支配力を兼ね備えた証拠として米球界のスカウティングレポートに大きく刻まれていたのです。
【移籍断念の真相】ポスティングを見送った決定的な理由と「2019年の手術」
ファンの間で「将来的なメジャー挑戦は既定路線」と目されていた則本投手ですが、結果としてポスティングシステムの行使を球団に要望することはありませんでした。その背景にあった最大の要因が、2019年シーズン開幕直前に直面した「右肘のクリーニング手術」です。
新人時代から6年連続で規定投球回をクリアし、毎年チームのエースとして腕を振り続けてきた代償は、確実に右肘を蝕んでいました。プロ入り後初となる長期離脱を余儀なくされ、復帰の目処すら不透明だった当時、則本投手の胸中には強烈な不安と孤独感が押し寄せていたと伝えられています。順調にいけば翌2020年にも国内FA権、数年後には海外FA権を取得できるタイミングでのアクシデントでした。
先の見えないリハビリ期間中、球団首脳陣やフロントは焦らせることなく右腕を手厚くサポートし続けました。「投げられない自分を信じ、待ってくれたチームを裏切ることはできない」——。メジャーという華々しい夢よりも、苦境で自分を支えてくれたチームと東北のファンに恩返しをしたいという感情が、米球界挑戦への意欲を上回った瞬間でした。
【異例の7年契約】球界を震撼させた「生涯楽天宣言」と年俸推移の内幕
2019年7月、一軍復帰登板を直前に控えた則本投手は、球界関係者を驚愕させる決断を下します。それが、当時のプロ野球界では極めて異例となる7年という超長期契約の締結でした。
推定年俸は現状維持の3億円に出来高を加えた大型ディールで、契約期間は2025年シーズン終了時まで。この契約によって、将来的に獲得するはずだったFA権の行使機会をすべて凍結させ、事実上の「生涯楽天宣言」を行いました。当時の則本投手の年俸推移を振り返ると、新人王を獲得した翌年の6000万円から右肩上がりに上昇し、2018年には2億5000万円、2019年には3億円の大台に到達していました。
もしポスティングやFAで海を渡っていれば、複数年で数十億円規模の巨額契約を勝ち取れた可能性は十分にありました。しかし、則本投手は目先のマネーゲームやアメリカ行きのロマンではなく、チームへの忠誠心と家族の生活の安定、そして何よりも「楽天のエースとして現役を全うする道」を選択したのです。
【先発からクローザーへ】抑え転向で見せた新境地と進化し続ける投球スタイル
長期契約の終盤に差し掛かった2024年、則本投手のキャリアに再び大きな転機が訪れます。長年ブルペンの絶対的守護神として君臨していた松井裕樹投手がサンディエゴ・パドレスへ移籍したことを受け、首脳陣から打診されたのがクローザー転向でした。
先発完投型のエースとして通算100勝以上を積み上げてきた男にとって、試合の最終回を締めるポジションへの適応は容易ではありません。しかし、則本投手は持ち前の闘争心を全面に出し、1イニングに全エネルギーを注ぎ込む投球スタイルへと瞬く間にモデルチェンジを果たしました。短いイニングで威力を増した直球と決め球のフォークは再び猛威を振るい、転向初年度からセーブ王のタイトルを獲得する獅子奮迅の活躍を見せました。
かつてメジャー関係者が「ショートイニングの適性も抜群」と見立てていたスカウティングの正しさが、図らずもNPBの舞台で証明された形となりました。先発エースから抑えの切り札へ。形を変えてチームを支え続ける姿は、ファンの心を強く揺さぶり続けています。
【2026年最新】則本昂大の現在の成績と球界における唯一無二の立ち位置
2026年シーズンを迎えた現在、則本投手はベテランの域に達しながらも、東北楽天のブルペンを統率する守護神として確固たる存在感を放っています。日々のコンディション管理と巧みな投球術でクオリティを維持し、現在の成績においてもセーブを積み重ねながらチームの勝利に直結する投球を披露しています。
NPB通算勝利数と通算セーブ数の双方でハイレベルな数字を残す投手は、日本球界の歴史を振り返っても江夏豊氏や佐々木主浩氏などごく一握りしか存在しません。則本投手はまさにその系譜に連なるレジェンドとしての領域に足を踏み入れています。
メジャーへ挑戦した日本人投手が脚光を浴びる時代だからこそ、ひとつの球団に忠誠を尽くし、チームの変革期を支え続けるフランチャイズプレイヤーの価値は際立ちます。「杜の都を守り抜く」という決断の正しさは、背番号14がマウンドに上がるたびに巻き起こる割れんばかりの大歓声が何よりも物語っています。
【則本昂大のメジャー挑戦】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:則本昂大投手が今後メジャーへ挑戦する可能性は完全にゼロですか?
A1:現実的に考えて可能性は極めて低いと言えます。2019年に結んだ7年契約により海外FA権の行使時期をチームに捧げ、現在は年齢的にも30代半ばを迎えています。本人も一貫して楽天でキャリアを全うする意志を示しており、米球界への移籍は完全に選択肢から外れていると見て間違いありません。
Q2:米球団が当時最も高く評価していた則本投手の特徴は何でしたか?
A2:高い奪三振率を叩き出すフォークボール(スプリット)の落差と、常時150キロ台中盤を計測する強いストレートのコンビネーションです。さらにピンチの場面で見せる強い闘争心や、シーズンを通じてローテーションを守り切るタフネスさも高評価のポイントでした。
Q3:なぜ楽天球団は2019年当時、国内でも異例の「7年契約」を提示したのですか?
A3:球団創設以来の生え抜きエースである則本投手を流出させず、名実ともに球団の顔として遇するためです。当時、将来的なFA流出やポスティング移籍の噂が絶えなかった中、右肘手術というピンチのタイミングで破格の長期契約を提示することで、選手への絶大な信頼を行動で示しました。
まとめ:東北の誇りとして刻まれるエースの誇り高き選択
プロ野球選手にとって、世界最高峰のMLBで腕を試すことは最大のロマンの一つです。しかし、則本昂大という男が選んだのは、自らを育て、苦境で手を差し伸べてくれた東北楽天ゴールデンイーグルスと一蓮托生で歩む道でした。
ポスティングの見送りや7年契約の締結をめぐっては、当時様々な議論が巻き起こりました。しかし、先発としての栄光を経てクローザーへと転向し、なおもチームの勝利のために雄叫びを上げ続ける現在の姿を見れば、その選択がどれほど誇り高く、尊いものであったかは明白です。メジャー挑戦という夢の先にあった「生涯楽天」という覚悟は、これからも東北のファンに語り継がれていくはずです。 (出典: 則 本 昂 大 メジャー(Yahoo!ニュース))