BTSグラミー賞2023の結末と不参加の真相|歴史的3部門の裏側
2023年2月に開催された第65回グラミー賞。世界的スーパースターとしての地位を不動のものにしたBTSが、キャリア最多となる3部門ノミネートを果たした歴史的な授賞式でした。しかし、全世界の音楽ファンが固唾をのんで見守った結果は無冠。さらに、これまで華々しいパフォーマンスで会場を熱狂させてきたメンバー全員が現地に姿を見せない「授賞式不参加」という異例の展開を迎えました。
メンバー全員が兵役義務を終えてグループとしての本格再始動期を迎えた2026年現在の視点から見ても、あの第65回はBTSのキャリアにおける大きな転換点でした。本稿では、当時の一次情報、米音楽業界の内部データ、ファンのリアルな証言を交えながら、悲願の初受賞を逃した構造的要因と欠席の真相を徹底的に検証します。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:BTSは第65回グラミー賞で計3部門にノミネートされたものの、悲願の初受賞は叶わず無冠に終わった。
- 要点2:授賞式不参加の決定打は、2022年12月のJIN入隊に伴うグループ活動休止とメンバー個々のソロ活動期への完全移行。
- 要点3:サム・スミスらの受賞背景に見るアカデミーの選考特性と、2026年完全体復帰に向けた歴史的意義の全貌。
【第65回グラミー賞結果】BTSは悲願の初受賞を果たせたのか?3部門の最終結末
結論から申し上げると、BTSは2023年の第65回グラミー賞において悲願の初受賞を果たすことはできませんでした。米ロサンゼルスのクリプト・ドットコム・アリーナで現地時間2023年2月5日(日本時間2月6日)に開催された授賞式において、BTSは事前発表されていた対象3部門のすべてで受賞を逃す結果となりました。
最も受賞の期待が高まっていたのが、英ロックバンドのコールドプレイとの共作である「My Universe」が候補入りした最優秀ポップデュオグループパフォーマンス賞です。過去2年連続で単独ノミネートされていた同部門でしたが、受賞を果たしたのは社会現象を巻き起こしていたサム・スミス&キム・ペトラスの「Unholy」でした。トランスジェンダー女性として史上初の主要部門受賞となったキム・ペトラスの歴史的スピーチが話題をさらう裏で、BTSの初栄冠は持ち越しとなりました。
さらに、アンソロジーアルバム『Proof』のタイトル曲である「Yet To Come」がノミネートされた最優秀ミュージックビデオ賞は、テイラー・スウィフトが自ら監督を務めた短編映画仕立ての超大作「All Too Well: The Short Film」が獲得しました。また、コールドプレイのアルバム『Music of the Spheres』にソングライターおよびフィーチャリングアーティストとして参加したことで候補となっていた最優秀アルバム賞(Album of the Year)も、ハリー・スタイルズの『Harry's House』が受賞し、BTSの名がトロフィーに刻まれることはありませんでした。
BTSグラミー賞2023ノミネート部門の全貌とコールドプレイとの共闘
受賞こそ逃したものの、BTSグラミー賞2023ノミネート部門の内訳は、彼らの音楽的影響力がK-POPの枠組みを完全に突破したことを証明するものでした。当時のノミネート内容は以下の3つです。
- 最優秀ポップ・デュオ/グループ・パフォーマンス賞:Coldplay & BTS「My Universe」
- 最優秀ミュージック・ビデオ賞:BTS「Yet To Come (The Most Beautiful Moment)」
- 最優秀アルバム賞:Coldplay『Music of the Spheres』(BTSがフィーチャリングアーティストおよびソングライターとして参加)
特に特筆すべきは、韓国語楽曲である「Yet To Come」が英語圏以外の作品として異例のMV賞ノミネートを果たした点、そして主要4部門の一つである「最優秀アルバム賞」にメンバーのRM、SUGA、J-HOPEが楽曲制作クレジットを通じて名を連ねた点です。コールドプレイのフロントマンであるクリス・マーティンがBTSのソウルスタジオを直接訪れて制作された「My Universe」は、国境や人種、言語の壁を超えた連帯のアンセムとして全米ビルボードHot 100で初登場1位を記録しており、商業的・批評的成果の両面で受賞資格を十分に満たしていました。
【データで見る軌跡】BTSグラミー賞歴代ノミネート経歴と第65回の比較検証
BTSがグラミー賞の歴史にどのように関わってきたのか、その歩みを正確に理解するためには過去の推移を俯瞰する必要があります。以下の比較表は、第63回から第65回までのノミネート実績と受賞結果を客観的にまとめたデータです。
| 開催回・年度 | ノミネート部門および対象作品 | 受賞者・競合作品 | 編集部の分析・現場評価 |
|---|---|---|---|
| 第63回(2021年) | 最優秀ポップ・デュオ/グループ 「Dynamite」 | レディ・ガガ & アリアナ・グランデ 「Rain On Me」 | 韓国人歌手として史上初の主要ジャンルノミネート。パンデミック禍での単独パフォーマンス披露が世界的な話題に。 |
| 第64回(2022年) | 最優秀ポップ・デュオ/グループ 「Butter」 | Doja Cat ft. SZA 「Kiss Me More」 | ラスベガス現地でのスパイ映画風ステージが絶賛されるも、保守的な会員層の壁を崩せず惜敗。 |
| 第65回(2023年) | 最優秀ポップ・デュオ/グループ 「My Universe」 他2部門(計3部門) | サム・スミス & キム・ペトラス 「Unholy」 他 | キャリア最多の3部門ノミネート。グループ活動休止期と重なり、現地授賞式は完全不参加を選択。 |
数値データを検証すると、BTSは3年連続で最優秀ポップ・デュオ/グループ・パフォーマンス賞にノミネートされるという、アジア圏のアーティストとしては前人未到の記録を樹立しています。単発のヒットではなく、継続して最高峰のポップアクトとして選定機関から認知されていた事実は、客観的なデータからも疑いようがありません。
BTSグラミー賞不参加の真相|兵役入隊と授賞式欠席に至った決定的な経緯
授賞式当日に最も大きな議論を呼んだのが、BTSグラミー賞不参加の真相でした。2021年のリモート参加、2022年の現地ラスベガスでの圧巻のパフォーマンスを経て、なぜ彼らは最多ノミネートとなった2023年の会場に姿を見せなかったのでしょうか。そこには、BTS兵役入隊と授賞式欠席の経緯に直結する避けられない事情が存在していました。
タイムラインを整理すると、グループは2022年10月に開催された釜山広域市での「BTS <Yet To Come> in BUSAN」コンサートを成功裏に終えた直後、所属事務所BIGHIT MUSICを通じて「兵役義務を順次履行する」旨を公式発表しました。そして同年12月13日、最年長メンバーであるJINが陸軍現役兵として入隊したのです。
これにより、BTSは結成以来守り続けてきた「7人完全体」での公式活動を事実上休止し、通称「チャプター2」と呼ばれる個人活動フェーズへと突入していました。授賞式が行われた2023年2月上旬の各メンバーの動向は以下の通りでした。
- RM:初のソロ公式アルバム『Indigo』リリース後のプロジェクト展開に集中。
- SUGA:初のソロワールドツアー『SUGA | Agust D TOUR』の準備期間。
- J-HOPE:入隊を控えたソロ活動の総括期。
- JIMIN、V、JUNG KOOK:それぞれのソロデビューに向けた楽曲制作・海外スケジュールを消化中。
グループの象徴である7人のうち1人が国防の義務に就いている状況で、一部のメンバーのみがレッドカーペットを歩くことはグループの連帯理念にそぐわないという判断がありました。また、ノミネートされた楽曲はいずれもグループ名義または他アーティストとのコラボレーションであり、ソロ活動に舵を切ったタイミングで「BTS」として公の場に出演することは現実的ではなかったのです。この欠席は、選考側に対するボイコットなどではなく、兵役という不可避の国家的義務と各個人のアーティスト活動スケジュールに基づく極めて現実的な決断でした。
なぜグラミー賞を逃したのか?米音楽界の構造的壁と受賞基準の深層
数字と反響の面で圧倒的な実績を残しながら、BTSグラミー賞受賞逃した理由はどこにあったのでしょうか。米レコーディング・アカデミー(The Recording Academy)の選考システムと当時の音楽シーンを構造的に分析すると、2つの大きな壁が浮かび上がります。
1. 時代の文脈を捉えた「Unholy」の文化的インパクト
第65回でトロフィーを獲得したサム・スミスとキム・ペトラスの「Unholy」は、楽曲自体のバイラルヒットにとどまらず、クィアカルチャーの認知拡大という社会的なモメンタムを伴っていました。グラミー賞の投票会員(約1万1,000人以上のアカデミー会員)は、単なるストリーミング再生回数やファンによるチャート押し上げよりも、「音楽界における歴史的転換点となり得るか」「業界内のクリエイティビティにどのような刺激を与えたか」を極めて重視する傾向があります。「Unholy」が持っていたメッセージ性と社会的強度は、会員の投票行動を強く後押ししました。
2. レコーディング・アカデミーの会員構成と保守性
近年のグラミー賞は若年層や多様性に配慮した改革を進めているものの、投票権を持つコア層は依然として欧米のベテラン音楽プロデューサー、エンジニア、スタジオミュージシャンが多数を占めています。彼らは伝統的なバンドサウンドやボーカル技術、スタジオワークの緻密さを好む傾向が強く、K-POP特有の高度にシステム化された分業制プロダクションや、熱狂的なファンダムによる大衆的現象に対して、歴史的に慎重な姿勢を崩していません。「My Universe」が持つ親しみやすいポップセンスよりも、競合作品のエッジの効いたプロダクションが評価された側面は否定できません。
【実態検証】グラミー賞2023ネットの反応と日本放送WOWOWでの反響
結果が判明した直後、グラミー賞2023ネットの反応は日米をはじめ世界各国で激しい熱を帯びました。X(旧Twitter)では、授賞式直後から「#OurPrideBTS」「#Grammys」が世界トレンドの上位を独占しました。
現場とファンのリアルな声には、大きく分けて以下のような対照的な視点が存在していました。
「3年連続で無冠という結果は悔しいが、兵役という過渡期にあっても3部門にノミネートされた事実そのものが彼らの偉大さを証明している」という誇りを持った肯定的な意見がファンダムを中心に多数を占めました。その一方で、「グラミー賞は視聴率やSNSの話題作りのためにBTSを利用し続けているのではないか」という選考に対する疑念の声、いわゆる「#Scammys」という抗議ハッシュタグの再燃も見られました。
日本国内においては、グラミー賞2023日本放送WOWOWが生中継を実施し、朝の通勤・通学時間帯と重なったにもかかわらず視聴者の高いエンゲージメントを記録しました。スタジオ解説陣も、BTSメンバーの不在を惜しみつつ、韓国人アーティストが残したマイルストーンの大きさを客観的な解説で称賛。Yahoo!知恵袋や国内SNSの音楽コミュニティでも、「サム・スミスの受賞は作品のインパクトからして妥当」「BTSの挑戦はここがゴールではない」といった、冷静かつ成熟した議論が多く交わされていました。
一般に知られていない盲点とネットの誤解|「人種差別」言説の冷静な検証
BTSのグラミー賞落選が報じられるたび、ネット空間では「アジア系アーティストに対する人種差別である」という単純化された言説が飛び交いがちです。しかし、音楽業界の内部構造を冷静に精査すると、この見方は一面的な誤解を含んでいます。
グラミー賞における投票は、約1万数千人の登録会員による無記名投票によって行われます。アカデミー執行部がトップダウンで勝者を決定しているわけではなく、会員一人ひとりの主観的な好悪や業界内の人間関係が反映される民主的(かつ保守的)な仕組みです。現に、近年のグラミー賞ではジョン・バティステやシルク・ソニック、バッド・バニーといった非白人系アーティストが主要部門を制覇しています。
BTSが直面していた真の壁は、人種そのものというよりも「ボーイバンド/アイドルポップに対する業界特有の偏見」でした。欧米の音楽批評界では長年、バックストリート・ボーイズやワン・ダイレクションといった世界的大ヒットを記録したボーイグループであっても、グラミー賞の主要部門で受賞することは極めて稀でした。「巨大なファンダムに支えられたポップアイコン」というパブリックイメージが先行するあまり、彼らの音楽的実験性や作詞・作曲への貢献度が、純粋な音楽的観点から公平に審査されにくかったという構造的なバイアスこそが真実です。
【プロの結論】この結果から何を読み解くべきか
第65回グラミー賞におけるBTSの挑戦を「失敗」と捉えるのは大きな誤りです。英語詞のメガヒット(Dynamite、Butter)に依存せず、韓国語詞の叙情詩「Yet To Come」や、他国の伝説的バンドとの対等なコラボレーション「My Universe」でノミネートを勝ち取ったことは、彼らが「一過性のブーム」ではなく「世界標準のアーティスト」として音楽史に定着した決定的な証拠となりました。
【bts グラミー賞 2023】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:BTSはグラミー賞2023で1つも賞を獲れなかったのですか?
A1:はい。ノミネートされていた「最優秀ポップ・デュオ/グループ・パフォーマンス賞」「最優秀ミュージック・ビデオ賞」「最優秀アルバム賞(参加作品)」の3部門すべてで受賞を逃し、無冠という結果になりました。
Q2:なぜ2023年の授賞式にメンバーは1人も出席しなかったのですか?
A2:2022年12月に最年長メンバーのJINが入隊したことに伴い、グループとしての公式活動を休止していたためです。メンバー各自がソロアルバムの制作やツアー準備など個人のスケジュールを進めており、7人揃わない状況下で授賞式への渡米・登壇を見送る決断が下されました。
Q3:コールドプレイと一緒に受賞する可能性はあったのですか?
A3:最優秀ポップ・デュオ/グループ・パフォーマンス賞において、Coldplay & BTS名義の「My Universe」がノミネートされていたため受賞の可能性は十分にありました。しかし、同部門はサム・スミス&キム・ペトラスの「Unholy」が受賞しました。
Q4:日本で授賞式の様子を見る方法はありましたか?
A4:日本ではWOWOWが2023年2月6日午前に「生中継!第65回グラミー賞授賞式」として独占生中継およびライブ配信を実施しました。同日夜には字幕版の再放送も行われました。
まとめ:2026年の今だからこそわかる第65回グラミー賞の真の価値
2023年の第65回グラミー賞は、BTSにとって「受賞」という目に見える栄冠こそ得られなかったものの、彼らがポップミュージックの頂点で戦い抜いた一つの章の完結を告げる象徴的な出来事でした。
兵役による活動休止という過渡期にありながら、3部門ノミネートという圧倒的な存在感を示した事実は揺らぎません。そして、各自がソロ活動を通じて音楽的成熟を深め、全メンバーが兵役を完遂した現在、彼らが再び集結して鳴らす音楽は、かつてグラミーの壁に挑んだ時よりもはるかに強固なものとなっています。2023年の悔しさと沈黙の時間は、BTSというグループが真のレジェンドへと昇華するために必要不可欠な助走期間だったと言えるでしょう。 (出典: bts グラミー賞 2023(Yahoo!ニュース))